ここでご紹介するケーススタディは、単にアプリケーション(製品)を提供するという話ではありません。顧客の利益とそのソリューションを考えた結果、オンデマンド印刷物がマッチしたというケースです。このようなオンデマンド印刷の特性が顧客に強みをもたらすケースは、インターネットの普及、デジタル化とともに増加しつつあります。それでは、オンデマンド印刷のケーススタディをご紹介します。どのケースも顧客のニーズにフォーカスしたビジネスモデルです。発注サイドと受注サイドのゴール設定の違いに注目して下さい。まさに、顧客ニーズは顧客のゴール設定にあります。


PODとWEBを連動させ名刺印刷の分野で圧倒的な優位性を実現 - 株式会社 アオキ・オフィスサービス
TVで紹介されたネームインフォトカレンダー - 不二印刷株式会社
DM事務局代行でマーケットを拡大 - 錦明印刷株式会社
新たな市場を創造してビジネスモデル構築に成功 - 株式会社三恵社



刺印刷に特化して、ゆるぎない地位を獲得
アオキオフィスサービスが、PODに乗り出したのは1997年にさかのぼります。 1989年に「東京名刺センター」を社内部門として設立し名刺に特化したビジネスの展開を始めました。名刺は一般の印刷に比べて印刷単価が高く紙も絞り込みができます。 また、場所も取らず収益構造から見ても望ましいと考ました。その結果、90年代初頭から毎年2桁伸びを示し1997年に名刺の取引高で業界トップの地位を獲得したのです。

社名
株式会社 アオキ・オフィスサービス
本社住所
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-6-18
TEL
03-3558-8686
代表取締役
青木 昭
URL

POD機の導入で納期と利益率を向上
印刷受注は順調に増加していきました。当初はオフセット印刷が主流でしたが、顧客が増加することで、従来のフィルム工程は、校正の回数が多く、手間とコストがかかっていました。 名刺は顧客数が多くその管理にも時間がかかります。 いかに他の印刷媒体よりも高い単価を設定しても、こうした要素が重なれば利益率は下がります。そこで選択したのが、PODによる名刺印刷でした。97年にDocuTech1台、2000年には2台、そして2001年にはColor DocuTechを導入し、現在では名刺の7割がPODです。企業のロゴは、特色であることが多いため、ロゴ部分はオフセット印刷であらかじめ印刷をし、モノクロ部分をPODで印刷しています。 7割にとどまっている理由はここにあります。 ほとんどの名刺は100枚単位の発注なのでPOD化することでコスト削減を実現しました。 同社が圧倒的なアドバンテージを発揮しているのは、PODの導入だけではありません。 「インターネット名刺受発注システム」を開発してPODと連携させたことが決定的でした。 2001年から稼動を始めたこのシステムは、Web上で顧客が自身でデータ入力し、仕上がりイメージをPDFで確認することができるばかりか、承認者の承認システム、外字対応、資格取得マークなど、想定される細かな名刺特有のルールが盛り込まれています。 校正のやりとりをする必要がなくなったため、電話での確認作業やクレーム対応は激減しました。
また顧客自身が入力したデータはそのままデータベースとなり、次の発注に活用できるため、人事異動などの繁忙期であっても「短納期」を実現しています。 名刺は単価が下がり始めていますが、システムとの連携により利益を維持しているのです。
同社は、他社が避けて通った名刺印刷に特化し、専用のラインとノウハウを駆使した種々の合理化によりクライアントとの直接取引を拡大しビジネスを成功させています。

仕上がりのイメージをプレビュー表示 

ニーズ
人事異動などの時期にも短納期で納品してもらいたい
コーポレートカラーを使用し高い品質でなおかつコストを削減したい
校正のやり取りの負担を減らしたい

ワークフロー
コ ーポレートマークを オフセット印刷し台紙として取りおきをする
Webを使ったシステムで顧客自身が入力
上司が承認すると発注内容が工場に転送される
POD機を使って取りおきした台紙に追い刷りする
検品後、納品

顧客に提案した商品
名刺+インターネット名刺受発注システム





不二印刷は、昭和8年の創業以来、顧客のニーズの変化に常に対応し、また、時代を先取りしながら新たな技術を積極的に導入してきた企業です。印刷の激変の時代にあって、常に技術改革に取り組んだ同社は、デジタル印刷へもいち早く進出し様々なサービスを展開しています。

社名
不二印刷株式会社
本社住所
大阪市北区南森町 1-2-28
TEL
06-6365-8081
代表取締役
井戸 剛
URL

人の財産、「人財」が生み出す 3 つの力「提案力」「創造力」「技術力」を融合した会社の強み
井戸社長は「今、もっとも注力しているのが、「マーケティング・サービス・プロバイダー」として、従来の印刷業務にとらわれない付加価値の創造です。顧客のそれぞれに合わせたソリューションを提案し、販売促進の支援やコストダウンに貢献すること。 これこそが、わたしたちにできる最大のサービスだと確信しています。」と自社の強みをお話下さいました。 同社は、平成22年にオンデマンド印刷機を導入その年に第8回アジアン・プリント・アワード 2010銀賞を受賞いたしましたがそれはビジネスの創造のための提案と技術の三位一体となって達成した企業の力でしょう。

芸能人をも感動させたパーソナライズカレンダー

大阪のある飲食店でVIP顧客を対象に「名前と記念日が設定されたパーソナライズカレンダー」が顧客である関西で人気のTV番組で取り上げられ、出演者からも非常に高い評価を得ました。 番組内において、不二印刷株式会社の井戸社長のインタビューもあり、不二印刷株式会社自体も紹介されました。 放送当日から問い合わせの電話が鳴り続け、注文は未だ続いています。

ニーズ
話題性によりサービスの差別化をはかる
VIP顧客に絞ったサービスで、顧客のロイヤリティを上げて囲い込みを行う

ワークフロー
飲食店側は顧客の名前のデータをつけて発注し、数日後に納品されたカレンダーを顧客に手渡しする

顧客に提案した商品
12ヶ月分の受取者の名前と記念日入りパーソナライズカレンダー





ハイブリッド印刷の強みを武器にした営業展開
出版印刷の大手である錦明印刷は、デジタル印刷が強みを生かした市場開拓を行ってきました。デジタル印刷の強みを追求した営業展開は結果的に、自社の持つ本来の技術とデバイスが有効活用され、相乗効果を生んでいます。デジタル印刷とオフセット印刷の融合、それら「ハイブリッド」を強みに営業展開は益々活気づいています。

社名
錦明印刷株式会社
本社住所
東京都千代田区西神田 3-3-3
TEL
03-3265-7098
代表取締役
塚田 司郎
URL

製薬メーカーの事務局代行
これから御紹介いたしますのは、製薬会社のDMのケースです。全国に販売網を有している中堅製薬メーカーで既存顧客維持キャンペーンを行いました。情報収集に熱心な医師であれば従来のようなDMでも効果はありますが、今回のキャンペーンではより多くの医師に告知し、DMに付属しているアンケートに答えた方に名前入りのパーソナライズカレンダーをプレゼントすることでレスポンスの増加を狙いました。またネックであった事務作業の軽減策として返信ハガキのアンケート収集及びカレンダー申込後の発送業務を錦明印刷内に事務局を設置し代行を行い、製薬会社での手続きや手間の大幅削減に成功しました。
製薬会社の顧客は病院の先生ですが、時間が無い中でも、常に情報を欲しているのに対し、営業員は限られてしまいます。 例えば、離島や遠方への訪問がしにくい地域を含め、既存顧客に対する希薄な訪問状況を改善したいという顧客の気持ちを引き出しました。そして、営業マンの替わりを全てDMがやれると考えてはいないが、ある一定の病院の先生にはDMだけでも効果があるのではないかと仮説をたてたのです。
それだけ忙しい営業部です。 DMを出した後のフォローも人手がかかります。 どのくらいDMの効果があったのかは知りたいが、はがきの戻りや集計、電話での問合わせなどのバックエンドも企業にとっては頭の痛い問題です。その点についても、すべて丸投げを受ける体制を作ったということ、これも大きな成功のポイントでしょう。
顧客のニーズはDMを出すことよりも、むしろその戻りを集計し分析をしたデータが必要で、それができればDMを出したいという要望が顧客のニーズです。

きめ細かなプロモーションで12%のレスポンス率を達成
ダイレクトメールは、従来0,03%のレスポンス率といわれています。 そしてこの不況の中、DMの受注はきわめて難しい状況です。 企業は、プロモーションの必要を理解していても予算削減が叫ばれる今、 「限られた予算の中で、どのようなプロモーションを行い営業成績を上げていくのか」 という課題を持っています。 そして、この製薬会社の例では予想レスポンス5%に対し、結果12%のレスポンスを獲得しカレンダーの応募も予想を上回り、非常に評判が高いキャンペーンとなりました。 同社は製薬会社の成功事例を元に、他の会社に対しても水平展開を積極的に行っています。

ニーズ
医薬品メーカーの医薬担当者が定期的に訪問できない病院に対し、自社商品の継続利用を喚起させたい
プル型営業手法の一つとしてテストケースの結果を確認し、効果があれば今後も活用したい
発送後の事務作業に時間を要するので、事務作業を軽減したい

ワークフロー
製薬会社はDMを発送する医師・病院をリストアップ
送付先リストを受取りDMを作成
A4サイズの封筒無しDMの一部を切り取るとハガキになり簡単にアンケートに回答できる
DMを受け取った医師が付属のハガキでアンケートに回答
アンケート回答ハガキは錦明印刷内の事務局に届き、ビジュアルパーソナライズカレンダーを作成・送付する

顧客に提案した商品
返信ハガキ付きワンピース DMパック
アンケート回答者向け  Cocona カレンダー



大学の先生を対象としたPODサービスを開発し新市場を切り開きました。 メニューなど飲食店専門の印刷物を長年手がけてきた印刷会社がPODビジネスで大きく変貌を遂げています。

社名
株式会社三恵社
本社住所
〒462-0056 名古屋市北区中丸町2丁目24番地の1
TEL
052-915-5211
代表取締役
木全哲也
URL

従来の印刷にこだわらない姿勢
株式会社三恵印刷は大学の先生を対象としたPODサービスを開発し新市場を切り開きました。
木全社長が知り合いの大学教授を訪ねたときのこと、昨今の大学では教授は板書せずに授業の要点をまとめたレジュメをコピーして学生に配っていることを知り 「授業ごとに毎回配るなら、1年分のレジュメを1冊にまとめて期の初めに配ってはどうだろうか。コピーしたり配ったりする手間が大幅に省けるので先生方に喜んでもらえるのでは」 と考えました。そして新しいビジネスを1995年にスタートしました。
当初、講義ノートだけでなく他の印刷物の受注を目論んでいましたが、長くつきあいのある同業社が有り崩すのは困難でした。 それでも講義ノートサービスは市場が求めていたものであり、受注が拡大に伴い98年には自社のWebから全国の大学に向けてサービス掲載を開始しました。

小ロットでの採算割れを解決するPOD機導入
100部以下の小ロットでは、紙刷版や製本等のコストを考えると採算割れをおこしてしまいます。また1つの講義に出席する学生数は100〜300人程度ですし、講義ノート以外にも手がけていた論文集などは数10部という単位です。小ロット印刷におけるコストダウンからPODを検討していましたが、レジュメという商品は学期の初めであり集中した販売が予測され、一過性がある商売が予測されるため導入しても投資分を回収できるかという点には悩みましたが、このままではジリ貧状態から脱出できないという思いから導入を決意しました。 結果、現在も年間を通して稼働、POD事業は売上げ7000万円、同社全体の売上の25%を占めるほどにまで成長を遂げました。 既存事業が落ち込むなか新たな柱が出来たのです。誰も考えつかなかった講義ノートの印刷は、まさに「市場の創造」といえるでしょう。

ISBNコードによりアマゾンドットコムで全国に販売
POD機の導入によりWebも一新しWeb上で講義ノートや自費出版本の受注を開始しました。 同社の強みはカバーのデザインを含めた企画からデザイン、印刷まで一貫して手掛けることができる体制を構築していることですが、それにも増して大きな付加価値は出版コードを持っていることでしょう。 講義ノートや自費出版本にISBNコードを付けて一般の出版物として配本することができ、またアマゾンで注文することができるようになっているこのサービスは自費出版をする顧客にとって大きな魅力となっています。

 

ニーズ
先生の費用負担なしで小部数からのテキストを提供する

ワークフロー
大学の先生にメールを送りWebに誘導
メールでデータを入稿
ネットだけでなく直接訪問(フェイス・トゥー・フェイス)でのサポートも重視した細かなフォローを行う
発注者に納品するだけでなく、 ISBN コードを取得することで、国立国会図書館へ献本するなどのサービスもある

顧客に提案した商品
大学のテキストや論文の冊子
自費出版

 
 

         
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